モデルルーム家具選びの裏話
何気なく置かれた家具にも、実は理由がある。
今日は、12月に完成予定のマンションモデルルームの
打ち合わせスペースへ、家具の納品に行ってきました。
今回も無事に家具が収まり、ひと安心。
■打ち合わせスペース①

■打ち合わせスペース②

■待合スペース

せっかくなので、今日は少しだけ、普段あまりお話しすることのない「家具選びの裏話」をしてみたいと思います。
家具を選ぶ前に考えていること
今回のように企業様からコーディネートのご依頼をいただく場合、
まずは図面をいただき、床や壁の色、空間の用途などを確認しながら
家具を選ばせていただきます。
もちろん、インテリアとしての見た目も大切です。
でも、実はそれだけではありません。
部屋の広さや、そこでどんな時間を過ごすのかによって、
選ぶ家具の大きさや形、椅子の座り心地まで変わってきます。
特に今回は、マンションの購入を
ご検討されるお客様をお迎えする打ち合わせスペース。
言ってみれば、その企業様の「顔」にもなる場所です。
ご来場されたお客様が、その空間を見たときにどんな印象を持たれるのか。
安っぽく見えてはいけませんし、かといって予算を無視するわけにもいきません。
「素敵な空間だな」
そんなふうに感じていただけたら嬉しいですし、
実際に座っていただいたときにも、心地よく過ごしていただきたい。
そんなことを考えながら家具を選んでいます。
6人掛けのテーブル。さて、何センチにする?
例えば、6人で打ち合わせができるテーブルが必要だとします。
では、長さは200cmがいいのか、それとも210cmにするべきなのか。
たった10cmの違いですが、これがなかなか悩ましいのです。
大きければゆったり使えますが、その分、周囲の動線が狭くなります。
逆にコンパクトにすれば空間に余裕は生まれますが、資料を広げたときに窮屈に感じるかもしれません。
椅子も同じです。
短時間だけ座る椅子なのか、1時間、2時間とじっくりお話をするための椅子なのか。
座り心地はもちろん、不特定多数の方が使われる場所ですから、耐久性も大切です。
そして、テーブルの天板ひとつをとっても、文字が書きやすい素材がいいのか、傷がつきにくい素材がいいのか。
脚のデザインも、細くすっきりしたものがいいのか、太く存在感のあるものがいいのか。
考え始めると、本当にきりがありません。
単純に、部屋に収まる大きさのテーブルと椅子を置けばいい、というわけではないんですね。
納品の日は、ちょっとした答え合わせ
図面を見ながら、あれこれ考えて、最後の最後まで悩んで決めた家具。
でも、実際の空間に置くまでは、やっぱり少し不安もあります。
「もう少し大きい方が良かったかな?」
「この椅子を選んで正解だったかな?」
そんな思いを抱えながら納品に立ち会い、家具が収まった空間を見て、ようやく答え合わせができます。
そして、自分たちが考えていたイメージどおりに収まったとき。
これが、何とも言えない嬉しい瞬間なんです。
今回も無事に収まり、ほっとすると同時に、ひとつの仕事を終えた満足感がありました。
待合スペースには、ちょっと特別な椅子を

今回は打ち合わせスペースだけでなく、お客様にお待ちいただくスペースの椅子も選ばせていただきました。
こちらは、打ち合わせ用とは少し違う考え方です。
もちろん座り心地も大切ですが、せっかくなら、
「おしゃれな椅子だな」
「ちょっと座ってみたいな」
そんなふうに興味を持っていただける椅子にしたい。
そこで今回選んだのが、ヴェルナー・パントンがデザインした「パントンチェア」です。
独特の曲線が印象的な、世界的にも知られる名作椅子。
実は今年2026年は、デザイナーであるヴェルナー・パントンの生誕100周年にあたります。
誕生から長い年月を経ても、今なお新鮮で、見る人の目を引くデザイン。
ただ座るための椅子ではなく、空間にちょっとした楽しさや特別感を生み出してくれる存在です。
お客様がこの椅子を見て、少しでもインテリアに興味を持っていただけたら。
そんな思いも込めて選ばせていただきました。
何気なく置かれている家具にも、選んだ人の思いがある
私たちは普段、一般のご家庭の家具を選ばせていただく機会が多いのですが、
今回のような企業様の打ち合わせスペースや待合スペースの家具選びも、とても奥が深いものです。
普段、何気なく利用しているホテルのロビーやオフィスの応接室、商業施設の待合スペース。
そこに置かれている家具について、「どうしてこの椅子なんだろう?」と考えることは、あまりないかもしれません。
でも、きっとそこには、選んだ人のいろいろな思いや理由があるんだと思います。
見た目、使いやすさ、座り心地、耐久性、予算、そしてその場所を訪れる人への思い。
いくつもの条件を考え、悩みながら、ひとつの答えを出していく。
家具を選ぶという仕事は、単にモノを選ぶことではなく、
そこで過ごす人の時間を考えることなのかもしれません。
今回の納品を通じて、改めてそんなことを感じました。
これからこの場所で、たくさんのお客様が打ち合わせをされることと思います。
その時間が少しでも心地よいものになれば、
家具を選ばせていただいた私たちにとって、これほど嬉しいことはありません。
interior design VENUS
山本 隆之



